1 はじめに
「四角形の内角の 和は,360度であ る。」このことは,今 も昔も変わりません。 そして,これからもずっと変わらない ことでしょう。数学 の基礎的な知識というものは, 永久のものであって,未来で使えなくなるということはないのです。
2 「なぜそうなるの?」
子供たちは,そんな知識を結構知っています。でも, 「なぜそうなるの?」と聞くと,なかなか答えられま せん。 そこで,「どんな四角形でも内角の和は360度に なるか調べて,そのわけを考えよう。」という問題を 出しました。
すると,子供たちは,「正方形は,1つの角が90度だから90×4で360度になる。」とか,「長方形 もそうだ。」とか考えます。このように特別な場合を考えることは,大切なことです。 演繹的な考えといえます。 解決の方法の中で,ユニー クなのは,角A~角Dを写し 取って1点に集めるというタイプ。これは,1回転が
360度であることを活用したすばらしい考えです。
何と言っても1番多いのは,右図のように1本の対 角線を引いて,2つの三角 形を作るタイプ。これは, 三角形の内角の和の学習の応用でもあります。既習事項の活用の大切さを味わい ました。測ってみて「360度になりました。」というだけでなく,どんな四角形にも言えることを考えてい くことは大変重要なことです。 どんな四角形でも360度という一定の値になるな んて,よく考えると不思議なことではありませんか。
左のように,3つの三角形に分ける考えを出す子も います。「三角形が3つあるから180×3=540, 点Pのところに集まった角 Pが180度だから,引けばよい。」と説明できました。
3 一見,面倒に見える考えも…
ところで,子供たちにいろいろ考えさせると,右の ように対角線を引いて,4 つの三角形に分ける考えが 出てきます。これは,一見,面倒にも見えます。
けれども,四角形なんだから,4に関心をもって,三角形 がちょうど4つに分けられるやり方になっているのです。「三角形が4つあるから, 180×4=720,点Pのところに集まった角が360度だから,引けばよい。」と説明できました。 この考えなら、「n角形の内角の和は180×n-360」 というような一般化を図ることができるのです。
4 さらに,発展させると…
ところで,点Pは, どこにあってもよいわ けですから,辺BC上 に動いていったら,3 つの三角形に分ける考えになります。
では,頂点Dに動い ていったらどうなるのでしょうか。これは, 2つの三角形を分けるタイプになるわけです。
さらに,四角形の外に点Pが動いてし まったら,どうなるのでし ょうか。 三角形が3つできるから,180×3=540, △ADPの内角の和は180度だから,ゴミとして(子 供はこう言う),540-180=360となるわけです。
5 おわりに
「四角形の内角の和は,360度である。」 「そんなこと,もう知っているよ!」 と言っていた子どもたちが,「へー,そんな考えもあるのか。不思議だな。」と変わっていく姿に,今日も 教えられるのです。考えることのすばらしさを。
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