そんなこと,もう知っているよ! (その2)-5年「図形の角」-
1 子供の発想はすごい! こんな問いがあるなんて
四角形の内角の和がなぜ360度になるのかを学習しているときのこと。
「先生,このようにして(左図)三角形を作ったの ですが,できそうでできないんです。」
と,言いに来た子が一人。
「おっ,これは,目のつけどころがすごい。」と,すぐ思ったのですが,時間の制約があってその時間は紹介するのみとしました。数日後,これを宿題としたのです。すべての子供たちがこれを証明するのは困難ですので,地道にできる教科書の復習ページを1ページやるか,これを1題だけやるかのどちらかを選ばせたのです。
「家の人と相談してもよいです。ノートに説明を書いてきなさい。」
とだけ言って,次の日を待ちました。
朝,子供たちに会うやいなや,「3時間もかかった。」「頭がパンクした。」などの反響がすごく,どのようにやったかを聞かずにはいられなくなりました。
タイプⅠ《代数型》
△オイウについて,E+B+C=180
△オアエについて,E+F+G=180
だから、B+C=F+G
A=180-F,D=180-G
A+B+C+D=(180-F)+(F+G)+(180ーG)=360
タイプⅡ《外角の応用型》
A=E+G,D=E+F
A+B+C+D
=(E+G)+B+C+(E+F)
=(E+B+C)+(E+F+G)
=180+180
=360
以上2つの解法は,小学校の程度をはるかに越えていますが,子供たちは,見事説明できたのです。ただし,ほとんどの子供はちんぷんかんぷん。
ところが,次の解法を聞いて,あまりの簡単さにただただびっくりする人,人,人……よくぞここまで考えたという代物です。
2 子供の発想はすごい! こんな解法があるなんて
タイプⅢ《みんな180°に目を付ける》
E+B+C=180
アにある角,エにある角はそれぞれ180°
全部の角の和は、180×3=540
求めるのは,四角形の内角の和だから,△オアエの内角の和180度をゴミとして考えて
540-180=360
説明した子は,実はもっとあっさりとして,わかりやすくやっていました。これなら小学生でも理解できます。
3 タネを明かせば…
実は,この問題,前回の(その1)でご説明しましたように,点Pが動いて,たまたま辺アイの延長線と辺エウの延長線との交点になった場合なのです。
だから,前の問題のように,「180度がいくつ分あり,いらない分はどこか。」を考えればよいわけです。
4 おわりに
「四角形の内角の和は,360度である。」 「そんなこと,もう知っているよ!」 と言っていた子どもたちが,「へー,そんな考えもあるのか。不思議だな。」と変わっていく姿に,今日も 教えられるのです。考えることのすばらしさを。
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