1 はじめに
2年生の「ばいとかけ算」では,5年生で学習する3×1.2のような乗数が小数の計算の素地指導を行います。
さて,ここでは,幾つ分といったのを何倍とみて,一つの大きさの何倍かに当たる大きさを求めるという乗法の意味を理解できるようにしていきます。
2 教科書では
教科書では、具体場面として,「ある量の何倍かにあたる量を求めるときに,かけ算を用いることを理解すること」を目標として取り上げ,テープの色塗りを通して自然に理解できるようにしてあります。(東京書籍2年下P.42より引用)
この内容を子供たちが楽しく活動できるようにするにはどうしたらよいか考えました。
3 数学的活動を取り入れる。
子供は本来活動的です。そこで,算数冒険の旅にでかけて,問題を解いていくという場面を設定しました。
T 今日はみんなで「算数冒険の旅」にでかけるよ。
C やったあ。(これだけでもう乗り気)
T 今日の冒険に必要なのはこのかぎです。(袋から出し て,うやうやしく提示する。)
T このかぎ (9cmの赤い画用紙)があれば問 題が解けるよ。みんなにもあげるからね。大事にしてね。折 ってもいけませんよ。
C (一人一人かぎをもらって嬉しい様子。)
T このかぎ の長さは,何cmだと思いますか。
C (口々に言う。)
T 実は,この赤いかぎは9cmです。
T 今日はこの9cmの赤いかぎを使って,長さしらべの冒険 をしますよ。
C やったあ。
T では,問題です。前や後ろにいろいろな長さのテープが あります。(前と後ろに1セットずつ用意しておく)
ましょう。
T 長さを調べたら,この表に書いてね。どれから調べても いいです。質問はありませんか?
(たんけんボードにはさませる)
では,長さ調べの冒険に出発!!
C おう!
こうして,子供たちは教室の後ろの床にあるいろいろなテープの長さを調べにでかけたのです。
4 用意したア~キのテープ
それぞれのテープを白画用紙に貼りました。7本とも異なる色の画用紙でテープを作成しました。いずれも,のちほど黒板に貼るために,マグネットをつけておきます。
子供たちは次々と調べていきますが,どうもうまくいかないのです。「へんだなあ」と言っています。「アとカの長さはわかるんだけど・・・」それもそのはず,アとカしか9の倍数でないのです。友達と協力して,並べてみても分かりません。やはり,赤のかぎではアカしかわからない?(笑)
そこで,子供たちを集めました。
T 赤のかぎで調べられたのは,どのテープですか。
C アです。
T 何cmでしたか。
C 18cmです。
T どうしてですか。
C 赤のかぎの2つ分だからです。
C 赤のかぎの2ばいです。
C 9×2=18だからです。
カも同じようにして,~倍という表現と式という簡潔な表現に気付かせていきます。
「赤のかぎではアとカしかわからないね。」
「では,このかぎならどうだろう。」
そして,袋から取り出したのが・・・・ 子供たちは,「青かな?」という声。それが…金のかぎです。 「おおっ!」と歓声があがりました。
T このかぎの長さは,6cmです。これを使ってみよう。 子供たちは,いさんでまた調べに行きました。そして,次々と長さが分かったのです。何度も何度も調べていました。
5 活動の過程をまとめる。
T イは何cmでしたか。
C 24cmです。
T なぜ24cmでしたか。
C 金のかぎの4つぶんの長さだからです。
C 金のかぎの長さの4倍だからです。(学習したことを使う ようにさせる)
C 6×4
前で,4つぶんを実演してもらいましたが,そのうち,区切りの線や印に気が付いた子供が,一つ調べれば分かると言い出しました。
以下,同様にして他のテープもまとめていきました。
6 終わりに
最後に,アやカも金のかぎで調べていた子をほめました。子供たちは,金のかぎをもとにするとすべてのテープの長さが求められることを知って,びっくりしていました。もとが大切であることに気付いていったことでしょう。
ワークシート
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