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執筆者の写真kazu

5年 小数のわり算(計算の仕方)

更新日:2022年6月16日


1 はじめに  5年生で学習する小数のわり算について,学習指導要領解説算数編第5節2第5学年の内容A数と計算A(3)小数の乗法,除法に次のように示されています。

 

(3)小数の乗法及び除法に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 (ア) 乗数や除数が小数である場合の小数の乗法及び除法の意味について理解すること。 (イ)小数の乗法及び除法の計算ができること。また,余りの大きさについて理解すること。 (ウ) 小数の乗法及び除法についても整数の場合と同じ関係や法則が成り立つことを理解すること。 イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。 (ア) 乗法及び除法の意味に着目し,乗数や除数が小数である場合まで数の範囲を広げて乗数及び除数の意味を捉え直すとともに,それらの計算の仕方を考えたり,それらを日常生活に生かしたりすること。

 

 そこで,発展コース(22人)において,除法の計算の仕方を考える場面を取り上げたいと思います。

2 導入【前時】  まず,教科書を用いて,わり算の決まりについて復習をしました。これが,除法の計算の仕方の基盤になります。最近の教科書は,このような配慮がされていて,素晴らしいです。

 次に,問題を提示しました。

「リボンを□m買ったら,代金は300円でした。このリボン1mのねだんは何円ですか。」

T □に2が入ったとしたら,どういう式を立てれば答えが求められますか。 C 300÷2です。 T 答えは? C 150円。 T では,□に2.5が入ったらどうなるでしょうか。 T 数直線をかいて,調べてみましょう。

T どんな式を立てればよいですか。

C 300÷2.5 T なぜですか。 C 数直線を見ると,□×2.5=300だから,□を求めるには,300÷2.5をすると分かります。 C 言葉の式で考えると,代金÷買った長さ=1mのねだんなので,300÷2.5で 1mのねだんが求め

 られます。

 ここで,次のようなまとめをしました。

「わる数が小数でも,整数のときと同じように,わり算の式を立てることができます。」

3 計算の仕方(自力解決)【前時】  次に,300÷2.5の答えの予想をしました。いくつぐらいになるか考えると,2mが300円なら1mは150円。3mが300円なら1mは100円。だから,100円から150円の間ではないかということになりました。 さらに,実際のリボン1mと,2.5mを見せました。その際,「本当にそうだったっけな。」と言いながら,1mのものさしを当てて,10cmごとに印を付けて示しました。 そして,「習っていないことは,使えませんよ。進んだコースでは,3通り以上考えましょう。式だけでなく言葉でも説明を書きましょう。」と投げかけました。  すると,児童は,次のように考えました。

ア 2.5mをcmに直す。 300÷250=1.2…1cmのねだん 1.2×100=120  (120円)

イ 2.5mをmmに直す。 300÷2500=0.12…1mmのねだん 0.12×1000=120 (120円)

ウ 2.5mは10cmが25こ分と考える。 300÷25=12…10cmのねだん 12×10=120 (120円)

エ 2.5mは,0.1mが25こ分と考える。 300÷25=12…0.1mのねだん 12×10=120 (120円)

 児童は考えませんでしたが,次のような考えもあります。

コ 2.5mは,50cmが5こ分と考える。

300÷5=60…50cmのねだん

60×2=120 (120円)

サ 2.5は,0.1が25こ分。

300÷25=12…0.1に当たる量

12×10=120…1に当たる量

シ リボンの長さが10倍になると,代金 も10倍になるけど,1mのねだんは変 わらない。

300×10=3000…25mの代金

3000÷25=120 (120円)

シの考えは,教科書に載っているのですが,誰も考えませんでした。

(ここまでが前時)

4 計算の仕方(検討)【本時】

 前時の問題,答えを求める式,数直線,テープ,わり算の決まり(わられる数とわる数に同じ数をかけても商は変わらない。)を掲示しておきます。

T 今日は,前回の続きです。300÷2.5 の計算方法を考えるのでしたね。

T では,〇〇さん,発表してください。

C (ホワイトボードに書いたものを基に, アの考えを発表する。)

T 1.2とは,何ですか。

C 1cmのねだんです。1.2円です。

T このテープでは,どの部分ですか。

C(テープの1cmを指差す。)

 ここで,初めて納得した児童がいました。式から導かれた数値は,テープのような具体物や数直線で示さないと,分からないままになりがちです。

 次に,イやウ,エの考えと進みます。考えを全て一度に出すのではなく,一つずつ提示します。なぜなら,多くの考えを比べるのは難しいからです。

T 似たような考えが続きましたね。どん なところが似ていますか。

C 2.5mを直しているところです。

C 単位を変えているだけです。 ア~エの考えは,全て単位の考えです。違うところは,単位を変えところです。

T では,〇〇さん,発表してください。

C (ホワイトボードに書いたものを基に, オの考えを発表する。)

次に,カやキ,ク,ケの考えと進みます。 ここで,再び共通点や相違点に気付くようにします。

T 似たような考えが続きましたね。どんなところが似ていますか。

C わられる数とわる数に同じ数をかけています。

C わる数を整数にしています。

T わる数を整数にするために,どんな決まりを使ったのでしょうか。

C わられる数とわる数に同じ数をかけても商は変わらない。

T そうですね。よく気付きました。

T これらの考えで,最も分かりやすいのは,どれですか?

C (オの考えが多数)T なぜですか。

C 長さの単位でなくてもできます。

C わる数の小数点を取ると考えればよいからです。

C わる数を整数にするには,10倍が簡単だからです。リボンを□m買ったら,代金は300円でした。このリボン1mのねだんは何円ですか。

5 まとめ  ここで,まとめをどうしたらよいでしょうか。教科書には,「小数でわる計算は,整数の計算でできるように考えると,答えを求めることができます。」とあります。  このように,まとめは問題に立ち返り,どのようにしたら,小数でわる計算ができたのかをしっかりと言葉でまとめることが大切です。  私は,「『小数でわる計算は,』の書き出しで,自分なりにまとめてみましょう。」としました。  すると,児童は,「わり算の決まりを使って,わる数を整数にすればよい。」などとまとめていました。  そして, 「1.5mのホースの重さをはかったら,270gでした。このホース1mの重さは何gですか。」という問題の答えを今日のまとめを生かして出すように投げかけました。  児童は,次のようにして答えを求めていました。


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