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執筆者の写真kazu

算数発展問題集25 3年

更新日:2022年11月19日



 

 今回の3年生の発展問題のテーマは、あまりのあるわり算です。

 大問1は、男女別チームとは書いてありませんので、まず人数の合計を出し、わり算で求めるという2段階の問題です。59÷9=6あまり5ですから、あまりの5人をどうするか思わず考えてしまいます。9人のチームなので、5人の子はチーム数に入らないことになります。このような場合は、算数の問題上ではよいですが、現実的ではないですね。まあ、生活場面の途中経過の問題として捉えましょう。

 大問2は、あまりの意味を考えさせる問題です。袋がいくつ必要かではありません。元から袋がたくさんあったという場面です。使った袋がいくつかを求める必要がありますが、あまり扱われない問題なので、子供たちは戸惑います。

 大問3は、検算をすることと同じ考えで解く問題です。

 大問4は、除数の合計から先に出す問題です。

 大問5は、現実の場面をリアルに表すために、会話で取り上げました。

 先生の頭の中には、初めは、「混んでいるからできるだけ早く乗せてあげよう。」という大人の考えが働きます。31÷5=6あまり1ですから、全部で7回に分ければよいと思ったのでしょう。

 ところが、現実は単純ではありません。あまりの1が問題なのです。子供は、あまりがあるなんて、あんまりだ(^_^;)と思ったことでしょう。「ひとりぼっちはいやだなあ。」とつぶやいた子の一言に、先生は心を動かされます。「そうか。子供たちの気持ちに寄り添わなければいけないな。」と思った先生は、大人の考えから教師の考えになっていきます。

 「終わりから2つ目のグループを4人にして、最後のグループを2人にすればよいかな。」と先生は考えます。でも、その2人について不安に思った子もいるのです。「できるだけ同じ人数にしてほしいな。」と言った子のつぶやきに、そんな思いが込められています。2人がうまくいかなかったらどうしよう、からかわれたらどうしよう、などの思いが先生の頭の中に駆け巡ります。ここではもう人権を考える教師の顔です。

 そんなとき、子供からよい考えが生まれる設定にしました。教師が主体ではなく、子供に学び共感するという姿勢を表しました。

 では、どうすればよいのでしょうか。

 図で考えると、終わりから2つ目のグループを3人にすれば、2人にならず、しかも、3人のグループが2つできて、うまくいきそうです。しかし、「できるだけ同じ人数にしてほしいな。」という思いに、本当に答えたことになるのでしょうか。確かに、5人グループが5つと3人グループが2つにはなりましたが、グループの構成人数の差が2人になってしまいます。

 それでは、3人グループではなく、4人グループならどうでしょう。上の図のようにすれば、グループの構成人数の差がたった1人です。「できるだけ同じ人数」という条件にも当てはまるのです。もちろん、大前提として、7回で乗車するという条件にもぴったりです。

 この考えは、31=5×3+4×4という式に表示することもできます。31という数は、5×5+3×2や3×5+4×4、4×7+3×1などいろいろな見方で表すことができますが、それらの中で問題の条件にいちばん当てはまるものが、31=5×3+4×4というわけです。

 今回取り上げた考えが、よく使われている場面があります。それは、運動会などで行っている短距離走の組み合わせです。5レーンあるトラックで、1回の勝負に1人だけで走るわけにはいきません。1回ごとにできるだけ同じような人数で走れるように組み合わせる必要があります。ただし、この場合は、教師サイドで作ることになりますから、算数の問題にはなりにくいです。

 このように、「あまり」には、深い意味が込められているものがあります。子供たちがあまりにもっと目を向けることで、思考力を伸ばせるようにしたいものです。

 

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