2021年は、東京オリンピック・パラリンピックの年。改めて、陸上競技のルール(日本陸上競技連盟競技規則等)を見直してみました。小学校ではどうしたらよいか考える機会となればよいと思います。
1 スタートのやり方
「用意」と号砲の間の時間は、決められていません。全競技者が静止した段階で号砲を鳴らします。
「スターターは速やかにピストルを持った腕を上げ、「セット(用意)」と言う。スターターはすべての競技者が静止するのを待ってからピストルを撃つ。「オンユアマークス(位置について)」と「セット」との間、そして「セット」と号砲との間にかける時間を決める規則は存在しない。スターターは、全競技者の動きが正しいスタート姿勢で止まったなら速やかに走らせるべきである。つまり、あるスタートでは、ピストルを非常に早く打つこともあるし、他方、全競技者がスタート姿勢で静止するのを確かなものにするため、長めに待たなくてはならないこともあるということである。」(引用:日本陸連「ルール・ハンドブック2021」)
ちなみに、800m以上の種目では、「位置について」の後に号砲です。「用意」は言いません。小学校では、持久走がそれに当たります。
2 「ゴール」ではなく、「フィニッシュ」
陸上競技では、ゴールという言葉を使いません。英語ではfinish(フィニッシュ)ですから、海外の競技会でgoal(ゴール)と言っても理解してもらえないためだそうです。選手の“胴体”が5cm幅のフィニッシュライン手前の端に到達したときを“フィニッシュ”とするそうです。
このとき、胴体は、頭、首、腕、脚、手、足を除いた部分を指すそうです。フィニッシュの判定のときに、見るところです。
3 「コース」ではなく、「レーン」
トラック競技では、「コース」という言葉を使いません。英語のcourseは、走路として、マラソンなど競技場の外で行われる競技に用いられます。1人1人が走るのは英語でlaneというので、「レーン」という言葉になりました。 水泳の場合も2015年の日本水泳連盟競泳競技規則改正でコースをレーンと表記するとなりました。小学校の水泳指導のときにも呼び方を配慮する必要に迫られます。ちなみに、水泳の場合は、「フィニッシュ」ではなく、「ゴール」です。水泳の場合は壁がゴールなので、「ゴールタッチ」となります。
4 レーンの端
①曲走路の自分のレーンとは、走る方向に向かって左側のラインの外側から右側の外側まで です。つまり、左側のラインを踏むと、失格の対象となります。
②直線種目の場合は、ラインを踏んだり、外側を走ったりしても他の競技者の妨害になっていなければ失格になりません。(参考:陸上競技ルールブック2019(トラック競技)pp.223)
1年生が自分のレーンを走っていないことに気付くことがありますが、失格ではないのですね。自分の走る距離が長くなって、実質的なメリットが何もないからだそうです。
5 テイク・オーバー・ゾーン
①「バトンゾーン」という言葉を使いません。
②バトンは、テイク・オーバー・ゾーンで渡します。バトンの位置が判定基準です。
③渡される人は、テイク・オーバー・ゾーン内でスタートします。
④バトンパスをしたときに落としてしまったら、前の走者が拾います。 日本陸連のルールブックには、次のように表されています。
「24.7 バトンは、テイク ・オーバー ・ゾーン内で受け渡されなければならない。バトンの受け渡しは、受け取る競技者にバトンが触れた時点に始まり、受け取る競技者の手の中に完全に渡り、唯一のバトン保持者となった瞬間に成立する。それはあくまでもテイク ・オーバー ・ゾーン内でのバトンの位置のみが決定的なものであり、競技者の身体の位置ではない。テイク・オーバー・ゾーン外でのバトンの受け渡しは、失格となる。〔注釈〕バトンパスが開始され、バトンパスが完了していない状態でバトンを落とした場合には、バトンは渡し手(前走者)が拾わなくてはならない。バトンパスが完了し、受け手(後走者)が唯一の保持者となった後にバトン落としたら、受け手が拾わなくてはならない。」(引用:陸上競技ルールブック2021 pp.213)
②については、下のようなテイク・オーバー・ゾーンを決めたのなら、この中でバトンを渡されなければならないということです。
③については、下の図のような場合
です。次走者は、テイク・オーバー・ゾーン内で待って、スタートしなければなりません。
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