芝丸山古墳の上から階段を下りると、梅林があります。これは、「銀世界の梅」と名付けられています。
それは、江戸時代、新宿角筈(つのはず)(現西新宿三丁目)にあった「梅屋敷銀世界」に由来します。
絵本江戸土産の第10編の「四谷新町(よつやしんまち)」(ブログ「くずし字見ながら歴史散歩」)を見ると、江戸時代から明治時代にかけて新宿に梅園があって多くの人が花見に来たそうです。梅屋敷に咲く白梅の様子から「銀世界」と書かれた石碑もありました。
しかし、1911(明治44)年にこの場所が東京ガスのものになり、ガスタンクが造られることになりました。
そこで、その年に芝公園16号地に石碑とともに梅が移植されました。さらに、1961(昭和41)年、首都高速芝公園ランプ建設に伴い、1号地に移ったのだそうです。本当かどうか分かりませんが、確かに公園にその石碑がありました。
人間の都合であちらこちらへ動かされたものの、切られずに生き残ったのは幸いでした。
今日はその梅が少し咲いていました。白い梅です。
さて、新宿の方はどうなったかというと、その後ガスタンクは使命を終えて壊され、その場所には現在52階建ての「新宿パークタワー」があります。
そして、そのそばには、「銀世界稲荷神社」があり、その参道にはこの梅が里帰りして、毎年花を咲かせているそうです。なんとロマンのある話ではないでしょうか。
今年もこうして白い梅の花が咲いています。
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