1 はじめに
大学で地理学研究部というサークルに所属し,立体地図作りを学びました。4年生を担任した時は,子供たち一人一人が東京都の立体地図を作ることを通して東京の地形を学ぶ活動を取り入れました。 今年度は展覧会があったので,PTA作品として大きな作品(180×90cm)を制作することを決意しました。実は,6年前に日光の1万分の1の立体地図を展覧会に出展していまして,その第2弾として考えていたところでした。
2 東京都の立体地図 6年前,立体地図として日光を選んだのは,担任をしていた6年生の宿泊行事先だったからです。価値のある教材にしたい,そして,子供たちとの想い出に残る物にしたいという願いがありました。 そして,今年度は,3年生を担任したことで,東京都を選びました。
3 何分の1の地図にするか。 材料となる板ダンボールは,定型サイズが180×90cm(たたみ1畳分),厚さ5mmとなっています。 そこで,この大きさに東京都を入れるには,何分の1の地図にすればよいのかを考えました。東京都の最高峰である雲(くも)取(とり)山(やま)から東京湾の千葉沿岸までと,羽田空港並びに私の好きな秩父は,90×45kmの長方形に入りそうです。9000000÷180=500000より,5万分の1に決定しました。
4 5万分の1の地図の入手 昔は,大手の本屋に行き,5万分の1の地図を購入したのですが,今はインターネットで入手できます。「地理院地図」には,等高線のある地図が掲載されているので,利用しました。
5 板ダンボールの入手 通販を活用し,送料込み5枚4000円で購入。(後に3枚でできることが判明)(大学で使用した厚手の黄ボール紙は断面がダンボールと違って綺麗ですが,高価で堅いです。)
6 その他の材料 木工用ボンド(1kg)850円,つや出しニススプレー1200円,カーボン紙2枚,カラー糸,ポスターカラーなどが必要です。
7 いざ制作開始!
板ダンボールの上にカーボン紙を置き,その上から1本ずつ等高線を鉛筆でなぞっていきます。同じ高さの等高線をかいては,切る,貼る…の繰り返しです。高さ100mごとに板ダンボール1段になるので,高さ2017mの雲取山では,板ダンボール20段になります。
上の写真は,100mラインをカッターで切って,1段目を載せたところです。この時点で2点失敗してしまいました。1点目は,このまま左全体が高くなると思い込んだことです。秩父が盆地だったことに後で気が付きました。2点目は,山になる部分は穴を空けた方がよいことです。空洞にすると,全体が軽くなるし,材料が節約できます。
上の写真は,3段目(300m)を貼ったところです。谷が見えてきて,まるで生きているかのように入り組んでいます。この時点で5時間くらい経過していますが,あっという間に感じます。
木工用ボンドで部品一つ一つを貼り付けていきます。
上の写真は,8段目(800m)を貼ったところです。1段貼っては,重しの本を載せて数時間おかなければなりません。ここまでで10時間経過しておりますが,じっと眺める時間が増えてきました。山や川が造る自然の神秘さを感じます。
ところが,この時になって秩父(地図の北の方)が盆地であったことに気が付きました。高くなっていくことと思い込んでいた等高線が低くなっていたのです。北の方はやり直しとなってしまいました。
ショックが大きかったので,東京湾を先に造りました。こうして見ると,東京都の半分は100m以下の土地です。
気を取り戻して,秩父をやり直すのに2日かかりました。それから一気に完成へ。
初めは,標高が高くなると面積が小さくなるので,時間がかからないかと思いました。ところが,部品が段々小さくなり,数が多くなって複雑になって大変になりました。
それでも,何とか完成しました。至上の喜びです。