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  • 執筆者の写真kazu

指示語の指導(1)

更新日:2022年6月13日

1 はじめに


 物事を指し示す言葉である指示語。3年生では、「これ・それ・あれ・どれ」などの「こそあど言葉」とも言っています。

 指示語が何を指しているのかを問う問題は、中学校受験問題にも取り上げられています。

どのように指導したらよいのでしょうか。


2 課題


 3年生が次の文を読んで、指示語の内容をどれくらい捉えることができるでしょうか。

 

 モンシロチョウは、たまごからよう虫になり、やがてさなぎになり、それから、せい虫になります。カブトムシもアゲハチョウも同じです。これらは、「完全(かんぜん)へんたい」をするこん虫と言います。

 

問題① -線の部分の「これら」とは何ですか。次の中からすべてえらび、記号で答えましょう。

  ア モンシロチョウ

  イ たまごからよう虫

ウ さなぎ

  エ せい虫

  オ カブトムシ

  カ アゲハチョウ

                     正答【アオカ】


 この問題の正答率は、22%です。誤答は、イを選択したのが13%、オ・カ、エがそれぞれ9%、あとはバラバラというように多岐に渡りました。

また、「これ(ら)」となっていて、全て選ぶことになっていながら、複数解答をしたのが正解を含めて52%です。

 この結果から、2つの課題が浮かび上がってきました。

 1つは、指示語が指す言葉を捉える指導法の確立です。よくある指導は、「指示語の前にある言葉から探しなさい。」という方法だけでした。しかし、それでは、上のような問題をなかなか解くことができないのです。

 もう1つは、「これら」の(ら)の意味指導です。

(ら)が複数のことを示していることを改めて教える必要があります。


 では、次のような問題ではどうでしょうか。特別な指導をせずに、3年生がどれくらいできるでしょうか。

 

 カイコガは、えい語でシルクワームといいます。シルクは「きぬ」、ワームは「虫」という意味(いみ)です。 カイコガはさなぎになるとき、体のまわりにまゆを作ります。まゆからはきぬ糸をとることができるため、このような名前がついています。

                      (大日本図書3年理科の教科書から引用)

 

問題② -線の部分の「このような」とは何ですか。次の中からすべてえらび、記号で答えましょう。

  ア カイコガ

  イ シルクワーム  

  ウ きぬ

  エ 虫

   オ さなぎ

  カ まゆ

 キ きぬ糸

                     正答【イ】


 この問題の正答率は、30%でした。誤答は、アを選択したのが26%、ウ・エが

13%、あとはバラバラというように多岐に渡りました。


3 解決策


 このような実態から次のような解決策を考えました。

 1つは、指示語が何を指しているかを捉えるためには、「前の言葉よりも後の言葉に気を付ける」ことです。

 問題①では、「これらは、『完全へんたい』をするこん虫と言います。」とありますから、これらは昆虫なのです。ですから、カブトムシ、アゲハチョウを指すことが分かります。また、「同じ」という言葉から、モンシロチョウを捉えることができます。

問題②でも、「第1に指示語の後の言葉に、第2に前の言葉に気を付けよう。」という指導をすれば、「このような名前」であることを捉えることができます。

その上で、「シルクワーム」を指していることが分かります。

 一方、「これら」の(ら)の意味指導としては、「ぼくら」や「われら」などを例として示すとよいと思います。(ら)が複数のことを示していることを当たり前として扱うのではなく、きちんと指導することが大切であると思います。


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