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執筆者の写真kazu

肯定的な声かけ


 子供に声をかけるとき、その仕方によって子供が受ける印象はずいぶん変わります。今回は、肯定的な声かけにスポットを当ててみました。


1 給食が苦手なA雄へ

      「食べると大きくなれるよ。」 


 A雄は、給食が苦手です。食べるのに時間がかかる上に、きらいなものがたくさんあるのです。私は、そんなA雄に対して、

「この給食を食べないと大きくなれないぞ。」

「好きなものばかりでなく、きらいなものも食べないとだめだぞ。」

「給食は時間が決まっているのだから、時間を守らないのはだめだよ。」

などと言ってきました。でも、A雄は、なかなかできないのです。


 そこで、次のように肯定的な言い方に変えてみました。

「この給食を食べると大きくなれるぞ。」

「好きなものばかりでなく、きらいなものも食べるとすごいぞ。」

「給食は時間が決まっているのだから、時間を考えて食べようね。」

 すると、A雄は、何だかやる気が出てきたようです。ついに全部食べられたという日には、わざわざ報告に来るようになりました。そんなA雄の努力をしみじみと感じ、「がんばったね。」と声をかけられるようになりました。私も否定的な言い方をしなくなってから、心の余裕が出てきました。


2 廊下を走る子へ  「廊下をじょうずに歩きましょう。」


 週目標に、「廊下をじょうずに歩きましょう。」とありました。大変よい目標であると思います。以前は、「廊下を走ってはいけません。」「廊下を走ったらやり直し。」などと声かけをしていたことを考えると、ずいぶん変わったなあと思います。以前の声かけは、否定的で、その効果は小さくなる傾向があります。


 さて、「走る」という言葉があると、なぜ効果が小さくなるのでしょうか。それは、「走る」というイメージが先に出てしまうからです。「黒々とした煙と赤々とした炎が出ている家を思い浮かべてはいけません。」と言われると、私たちは、もうすでに思い浮かべてしまっているのです。同じように、子供たちは、「走るな。」と言われても走る様子を思い浮かべてしまうのです。「じょうずに歩く。」という言葉は、その様子を子供たちに連想させるよい言葉であると考えます。廊下を走る子がいたら、「じょうずに歩こうね。」と声をかけていく方がよいと思います。


3 クラスの子供たちへ  「あと10分はある。」


 学校は、時間との闘いに明け暮れています。特に朝の忙しさは、ものすごいものです。

 こんな時、以前は「あと10分しかない。」と捉えていました。

 しかし、今では「あと10分はある。」「10分でできることは何か。」と考え、子供たちに話しかけることが大切だと思っています。

 

 日頃、何気なく使っている言葉も、それを使う側の考え方や気持ちで、受け取り方がずいぶん変わってしまうということに気が付きました。

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