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  • 執筆者の写真kazu

著作権侵害で危うい学校のプログラム

教員の働き方改善・改革案26

意外な落とし穴

 よく見えている穴には、誰だって気を付けます。

 けれど、見落としそうな穴には、落ちることがあります。

 まして、意外な穴には、たくさんの人が落ちてしまいます。

 落ちないように誰かが声をかけなければいけません。落ちてしまった人ほど、その気持ちが強いです。 

 

 今回の特集は、「著作権侵害で危うい学校のプログラム」です。


1 著作権侵害のプログラム


 ほとんどの小学校で、運動会や音楽会などの行事の際に、プログラムを発行しています。その印刷物に歌詞が載っていたら、ちょっと注意してほしいのです。

 例えば、運動会のプログラムに、「ゴーゴーゴー(運動会の歌)」という歌詞が載っていることがあります。この歌は、子供たちが大好きです。赤白対抗で歌うことで、本当に盛り上がる歌です。保護者にも知ってもらいたい、一緒に歌ってもらいたいという善意で、プログラムに歌詞を載せているのだと思います。

 しかし、この曲をプログラムに載せるためには、使用料を支払わなければならないことをご存じでしょうか。


 初めに、JASRAC(日本音楽著作権協会)のホームページに作品検索があるので、「ゴーゴーゴー」と入れてみましょう。

 すると、「この作品はJASRACが著作権を管理しています」と表示されます。この曲には、著作権があることが分かります。

 次に、ジャスラの音楽著作権レポート「学校で音楽を使うときは」を見ます。

 以下、引用します。

 

歌詞や楽譜をコピーしたり、印刷したりすることは「著作物の複製」にあたり、学校においても、次のような場合は手続きが必要です。

  • 入学式や演奏会、運動会のプログラムなど大量の冊子に歌詞を印刷する。

  • コンクールの課題曲の楽譜をコピーして配る。

  • 学級通信に歌詞や楽譜を掲載する。

 

 著作権法第35条第1項より、教員は、授業では複製を認められていますが、上記のような場合は、手続きが必要なのです。

 実際、手続きをしたことがあります。申請書を書いたり、JASRACより通知された許諾番号を保護者に知らせたり、使用料を払ったりするのに大変手間でした。

 詳しくは、JASRACのホームページをご覧ください。

 

2 意外な曲も


 意外な曲として、校歌が挙げられます。校歌にも著作権があります。JASRACのホームページの作品検索で、「○○県○○市立○○小学校校歌」と入れてみると分かります。「この作品は、著作権が消滅しております」と出れば、使用料はいりません。自由に取り扱うことができます。

 ただし、作品検索に載っていない場合もあるそうで、その場合は、作詞者や作曲者で検索しなくてはいけません。作詞者や作曲者がJASRACに委託していたら場合により使用料が発生します。

 JASRACに委託された曲の場合は、厄介です。校歌でさえもプログラムや学校要覧、卒業式式次第等に載せるときは、いちいち使用料を支払わなくてはならないからです。

 ただし、JASRACに著作権があったとしても、ホームページに校歌を載せる場合は、特例として著作権料を支払わなくてもよいことになっています。その代わり、「校歌に関する音楽著作物利用許諾申込書」を1回だけ提出しなければいけません。


3 教員の働き方改革の上での対策


 1件につき900円程度なのですが、いちいち手続きをしていると大変手間です。管理職か担当者の業務が増えます。したがって、著作権のある曲の歌詞は、プログラム等の印刷物(学校だよりや学年だより、学級だよりも含みます)に載せない方がよいと思います。


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