「どの子も発言できたら…」このことは、おそらく教師ならば、誰もが願っていることではないでしょうか。発言するということは、意欲をもって学習しているという一つの断面ですし、積極性を見せていることにもなります。また、話し方はうまくなりますし、自分の考えを人に伝えられるというよさをもっています。
しかし、発言はいいことだと認めても、全員となると「無理」が生じます。なぜならば、教室には様々な個性をもった子供たちがおり、「発言したくてもできない」状態におかれている子供たちがいるからです。
そこで、今回は、そんな子供たちにスポットを当ててみました。
1 子供をダメにした一言<私の五つの失敗>
(1) 「それもいいけど、他には?」
時々言ってしまうこの言葉。子供にとっては、精一杯考えたものなのに、あっさりとこう言われると、自分の努力は何だったのかと思うようです。「いいけど」と認めているようですが、実は子供を全然生かしていない言葉です。「君の考えは、~のところがよいですね。他にも同じように考えた人はいませんか。」「では、別の考えをした人?」と聞くとよいようです。
(2) 「こんなことも知らないの。○年生でも知っているよ。」
算数は系統的な教科です。既習事項を身に付けていないと、問題をなかなか解決できません。子供は全て既習事項が身に付いているものだと思って指導すると、しっぺ返しがきます。「知らない」ということは、以前の担任を否定していることにもなりかねません。ここは、「忘れている人もいることだから、思い出すように復習しよう。」「実は、これは○年生でやったことなんだよ。」と一緒になって考えてやればよいようです。子供は忘れるもの、全員ちがうものとして考えなければと思います。
(3) 「分からない人はいませんか。どこが分からないの?」
この言葉を投げかけて、答えた子供はほとんどいません。教室はしーんとなり、暗い雰囲気になります。分からないところが分からないわけで、何と言ったらよいか分からないからです。こんなことが続くと、ますます発言しなくなります。また、「分からない人?」でも、挙手しなくなります。子供を否定的に捉えずに、「どこまでなら分かるの?」と肯定的に投げかけると、子供はホッとするようです。
(4) 「しっかり聞かないと、あてる(指名する)よ。」
何のために学習をしているのか分からず、恐怖の授業となります。子供は、当てられないようにするために聞くようになります。
このようなときは、「話をよく聞きなさい。」と言うよりも、「話をよく聞く人は、友達を大切にしている人です。」と投げかけた方がずっと効果が挙がります。子供たちは、一人一人が大切な仲間であることに気付きます。
(5) 「これしか手が挙がらないの? もっとがんばれ!」
分からないから手が挙がらない、自信がないから手を挙げないのに、こう言われては、ますますプレッシャーを感じてしまいます。中には、けなげにも担任のために手を挙げる子もいますが、手を挙げないのは、子供たちの責任と思わせるような一言になっていました。
挙手の数で、発問の難易度をみたり、個に対応できるようにしたりする必要があります。挙手が少なければ、子供が分からないような発問をした自分に責任があるということに結構何年もかかりました。その裏には、挙手の意味を子供自身に分かるようにしていなかったことが含まれます。
私の失敗は、以上の五つだけでなく、まだまだあります。でも、うまくいったこともあります。次回は、うまくいった例について述べたいと思います。<つづく>
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