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国の重要文化財である増上寺の三解脱門(さんげだつもん:略して三門)は、東日本で最大級の門で、1611年に建てられました。(1621年の大風による倒壊で1622年再建)
三解脱門とは、修行をして悟りの境地に至るときにくぐる最後の「空門」「無相門」「無願門」の三門のことです。
空(くう)とは、「全てのものは刻々と変化をしていくもので、不変のものはない。実体がないのだから苦しみも悲しみも恐れる必要がないと考えること」です。
無相(むそう)とは、「全てのものは姿や形が定まっていない。例えば1本の木も常に変化している。いつも同じと思うのはそのようにこだわっているからである。このようなこだわりをしないこと」です。
無願(むがん)とは、「全てのものは変化をしていくものなので、働きかけるものが定まらない。だから、求めるものもないと考えること」です。
僧は大変な修行をしてこれらの三門をくぐり悟りの境地に至ります。しかし、一般人は、悟りの境地を「寺院の中」と考え、三解脱門を「修行をしてくぐる三門」と見立てて寺院に入るということになります。
以上は、いろいろな記事を見て、私がまとめたものなので正しいかどうか分かりません。
三解脱門の建築様式は、禅宗様建築です。鎌倉時代に禅宗が布教されたときに用いられた様式で、中国の宋の建築様式を取り入れたものです。三戸二階二重門で二階へは階段で行ける構造になっています。ただし、非公開です。
私のような一般人が禅宗様建築を見て、その特徴とは、次の通りです。
①大きめの角度でそり上がった屋根
屋根のたる木が放射状になっているため、しっかりと屋根を支えることができています。
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下の写真は、増上寺本堂の屋根です。違いが分かります。なお、本堂は和様建築です。
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②軒下にびっしりとある組み物
組み物を等間隔で配置して屋根をしっかりと支えています。
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③山廊(門の左右にある平屋の建物)に花頭窓(かとうまど火灯窓)
上の部分が火炎形になっている窓です。
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専門的にはもっとたくさんあるそうですが、この3点はすぐ分かる特徴です。
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京都の知恩院の三門(国宝)は、日本最大の禅宗様建築の三門です。
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