1 はじめに
高学年の説明文の授業では,「事実と感想,意見などとの関係を叙述を基に押さえ,文章全体の構成を捉えて要旨を把握すること」が指導事項となっています。
学習指導要領解説国語編には,次のように書かれています。 (原文には,赤字はありません)
<3・4年>段落相互の関係に着目しながら,考えとそれを支える理由や事例との関係などについて,叙述を基に捉えること。
<5・6年>要旨とは,書き手が文章で取り上げている内容の中心となる事柄や,書き手の考えの中心となる事柄などである。要旨を把握するためには,文章全体の構成を捉えることが必要になる。文章の書く部分だけを取り上げるのではなく,全体を通してどのように構成されているのかを正確に捉えることが重要である。その際,叙述を基に,書き手が,どのような事実を理由や事例として挙げているのか,どのような感想や意見をもっているのかなどに着目して,事実と感想,意見などとの関係を押さえることとなる。
上記のことを授業で,どのように取り上げたらよいのでしょうか。
2 説明文のしくみ
説明文は,「序論」「本論」「結論」に分かれています。二瓶弘行氏は,「文章全体を家のように考えて,3つの大部屋に分けると,子供たちのハードルが低くなる。」と主張しています。
そこで,次のような家をかき,全体を考えていくようにしました。
3 大部屋に分ける
B4版2枚に教材文をまとめ,貼り合わせて,大きな1枚プリントを作りました。形式段落には番号を振っておきます。
このようにすると,文章全体が見えてきます。
まず,全文を読み,漢字の読みや言葉の意味を調べました。
次に,大部屋に分けました。自分の考えをもたせるために,自力解決の時間をとりました。
そして,国語の3~4人のグループで交流して考えを伝え合いました。
すると,結論の部分はクラス全体で一致しました。「このように」という言葉があるからです。
けれども,序論の終わりの部分がはっきりしません。4通りも出てきました。
子供たちは,それぞれの理由を発表しました。そのうち,「問いかけがあるから。」という理由が賛同を得られました。さらに,「『では』という言葉もある。」と言うのです。
その二つの点に着目したことをほめつつ,前の形式段落⑥のことを子供たちが考えるようにしていきました。
⑥「大昔から日本の山々は,木材の生産でにぎわいました。たくさんの木材が,山から切り出され,いかだに組まれて川をくだっていきました。」
⑦「下流に下ろされた木材は,では,どのように使われたのでしょうか。」
⑥は序論か本論か。それは,木材という言葉が大切な言葉になりました。⑤には木材という言葉はなく,⑦とくっつくのです。
こうして,大部屋に分けることができました。
4 本論を二つに分ける -中部屋-
この説明文は,本論が長いため,大きく二つに分けられています。
そこで,その区切りを探すことにしました。
すると,㉖段落にある,「森林は,もっと別のおくりものをとどけてくれているからです。」という大切な言葉に着目したグループが意見を言いました。
すると,その段落に,「木材と,紙と,火と-。」
それだけでも,何とすばらしいおくりものでしょう。けれども,それらは,森林の大きな働きからすれば,まだほんの一部にすぎません。」とあることから,この段落が,中部屋と中部屋を結ぶはたらきがあることが分かりました。この段落は,その内容から本論2に入れました。
なので,本論2は,「森林の働き」を説明していることが分かります。
では,本論1は,何でしょうか。「木材と,紙と,火と-。」をまとめた言葉は,本論には見つかりません。
そこで,序論から探させました。「森林のめぐみ」「木のくらし」という言葉が見つかりました。
「その森林のめぐみ」が木材を指すことから,「木のくらし」に決まりました。 (続く)
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