教員の働き方改善・改革案18
今こそ行動を起こすとき
「お客様は神様です。」という言葉があります。
教員にとっては、お客様は差し詰め「児童」なのかもしれません。
しかし、教員がいなければ神様も困るでしょう。教員が健康で、心豊かな生活を送ることができてこそ児童も生きるのです。
今こそ行動を起こすときです。業務を減らすために。
今回の特集は、「宿題の出し方と点検における改革」です。
宿題を出さないことが教員の働き方の改革になるのですが、なかなかそれはできません。なぜなら、保護者の関心が高く、児童の基礎基本の定着に宿題が多少なりとも寄与しているからです。宿題は、家庭での学習習慣のきっかけをつくっています。
では、少ない時間で多くを得るための宿題の出し方と点検は、どうしたらよいのでしょうか。地域にも学校にも学年にも左右されるので、あくまでも例です。
1 毎日のパターンを決める。
①音読、②漢字、③算数ドリルか学習用PCのドリルの3種類を毎日出します。自主学習は、点検が大変なので出しません。
①音読の宿題は、1か月分を作る。
左のように、色画用紙の裏表に1か月分の内容をあらかじめ印刷しておきます。
大きさはA4より多少小さめがよいです。クリアファイルに入れやすくするためです。
家の人の欄には、サインでもシールでも印でも構わないことを伝えておきます。
先生の欄には、印かスタンプです。そのため、色画用紙の色は、赤系統のものを避けた方がよいです。
国語の授業で、「この物語の主人公は男かな、女かな?」などの「読んだかなクイズ」を出すと、しっかり読むようになります。
毎週水曜日の朝に漢字テストをするというパターンをした場合、前日に漢字テストの読みを課題にします。
1か月の内容を記入するのに、多少時間がかかりますが、あとは楽です。
②漢字は小テストの準備勉強とする。合格したら宿題なし。
漢字ドリルを1冊購入し、授業の進度とは関係なく、1日2字を目指して国語の時間の初めに指導します。全体練習をして、書き順を確認しておきます。その場で、練習し、チェックもします。
水曜日の朝には、漢字テストをするというようなパターンを作っておきます。漢字ドリルの読むページを開いて、練習し、自分で答え合わせをするという基本的な学習方法をきちんと教えておきます。
漢字ドリルには、小テストが付いています。別売ですが、これをもう1セット購入します。漢字テストの前の日に配布し、宿題とします。そのかわり、漢字練習帳は買いません。
教員が点検する物はできるだけ少なくした方が賢明です。児童にとっても荷物が減ります。結果的に児童が漢字を覚えればよいのです。
小テストの合格点は、90点として、不合格の場合だけ、テストの裏に間違えた字だけを10回ずつ書かせます。合格の場合は、宿題はありません。覚えている児童にとっては繰り返し練習は苦痛です。一番大切なのは、できていない児童の意欲ですが、繰り返しこのパターンで行うと、徐々に効果が出てきます。来年度、参考にしてみてください。
③算数は、書き込み式のドリルにする。
算数のドリル教材には、「くりかえしドリル」と「書き込みドリル」があります。前者は、さらにノートが必要になるので、使いません。お金がかかり、荷物が増えます。また、くりかえしは飽きます。
書き込みドリルの答えも児童に渡し、自分で○を付けるように指導をします。間違えたところは、必ず赤で直させます。
書き込みドリルの場合、問題が少なくて宿題が出せない時があります。そのようなときこそ学習用PCを活用します。一人1台のPCにあるソフトは、自分で答え合わせができる優れものです。
プリントを出す場合は、裏に答えを印刷し、児童が自分で○を付けるようにしていました。
2 宿題の点検の仕方
宿題は、朝の健康観察カードとともに、登校したらすぐに提出させます。点検は、さっと見て、児童の分に1つ、座席表に1つスタンプを押して終わりです。厳密に過去にさかのぼって、「この宿題が出ていないから、出しなさい。」とは言いません。「これから頑張れば大丈夫。」など、未来に向けて声をかけます。宿題ができずに不登校傾向になる児童もいます。宿題が叱る材料になってしまっては、児童も教員も精神的な苦痛も感じてしまいます。
ところが、朝の点検だけだと、児童が目の前にいるので、スタンプを押しながら、頑張ったことを褒めたり、超短い世間話をしたりしてコミュニケーションを図ることもできます。1人20秒くらいで、30人でも10分で済みます。登校直後で、時間差ができるので、長蛇の列ということもありません。座席表を見れば、出席をとったのと同じことになります。
点検をしてもらった児童は、読書をして朝の会を待ちます。
このように、宿題を集めず、その場で返すことで、時間的なロスも精神的な苦痛もなく終えることができるのです。職員朝会がない学校では、この方法は、今からでもできます。
職員朝会や朝の行事がある学校の場合は、担任が朝の会の代わりにやると心に決めれば、実行できます。朝のうちに終わるので、宿題の点検に対するストレスが少なくなります。
かつては、教師が○付けをしたり、チェックをして出ていない宿題を出させたりしていました。班ごとに出させることで、配る時間を短縮できたと自己満足していたあの時は何だったのでしょうか。宿題の点検に大変大きなエネルギーを費やしていたと思います。
冒頭にも述べましたが、宿題の出し方や点検の仕方は、地域や学校や学年によって、様々です。ここに述べたことを参考にして、それぞれの方々が工夫してほしいと思います。
しかしながら、教員が一人一人にコメントを書いたり、○を付けたりすることはしないでほしいです。それらが長時間労働の元になっていることに気付いてほしいです。休み時間に宿題をチェックするより児童と遊ぶ方がずっとよいのではないでしょうか。宿題を出した出さないで注意するよりも、家庭教育を手助けする仕事よりも、授業の準備に時間をかけませんか?
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