教員の働き方改善・改革案6
みんなで考え、みんなで実行する
教員の働き方改善・改革は、一人で実行しても微々たるものです。しかし、みんなで考え、みんなで実行しようと決意することで実現します。
国、地方自治体、教育委員会、業者、校長、教員がそれぞれ取り組んではいるものの、一丸となって進まなければいけないと思います。そうでなければ、教員は疲弊するばかりです。そして、教員を志望する学生が減っていきます。
今回の特集は、「週案でできる教員の働き方改革」です。
昔は、年間指導時数が年間35週の35で割り切れる数だったので、固定時間割があれば用が済みました。例えば、音楽も図工も70時間でしたから、毎週2時間ずつ入れればよかったのです。ところが、今はそれができません。音楽も図工も学年によって時数が違います。高学年なら年間50時間です。35で割り切れない教科が多いために、毎週時間割を変えなくてはいけません。また、行事が近付けば、練習のために、特別な時間割になることもあります。学校は、意図的・計画的に経営されていくからこそ充実した教育が実施されます。週案は、学校・学級経営の重要な位置を占めています。週案を作成する上で、私は、次の4点が問題だと考えます。
1 週案作成上の問題点
(1) 時間がかかりすぎる。
「授業の予定なのだから単元名だけでなく、授業の目標も書きなさい。」という指導が入り、詳しく書いていくと、1週分書くだけで1時間はかかってしまいます。その上、急に都合で計画していた活動ができなくなると、全部がずれてしまいます。2週間先、1か月先を見通すのはよいことですが、ぐちゃぐちゃになってしまって、げんなりし意欲が極度に低下します。このように、週案を作成するのに時間がかかりすぎることが問題です。しかし、先を見通して授業の準備ができることは教員としての自信につながります。また、週案を印刷して児童に配ると、保護者にも大変好評でした。予定がよく分かる、持ち物もしっかり用意できると感謝されました。学習習慣の確立の基盤となりました。
(2) 時数を計算するのに過去の記録に戻って電卓で計算する。
教育委員会は、授業時数が足りているかどうかを学期ごとに調査します。学期が終わる頃になると、担任は週案をめくり、授業時数を改めて週ごとの時数を計算し、電卓で集計します。毎週やればいいと思うかもしれませんが、面倒くさくてなかなかできません。仕方なく仕事はたまってしまい、学期が終わる頃までできないのです。電卓でやっても打ち間違えたり、ずれて打っていたりして合わずいらいらします。児童のためにやっているというわけでないので、なおさら時間のロスを感じます。
(3) 週案作成の目的を過度に考えすぎている。
週案は「指導計画」「時数把握」のためにあると考えます。しかし,「授業改善」「学校改善」「児童の記録」「自己研鑽」などに活用していこうとする管理職や教員がいます。実は自分もそうでした。昔は「裁判になったときは、これが貴重な証拠になります。」とか、「児童の様子や授業の反省等も記録して。」などと言われ、何時間もかけて作成していました。管理職は、提出された週案を丁寧に一語一語読んで、コメントもびっしり書いてくださいました。児童の日記欄を設けて、毎週コメントしたこともあります。それが週案活用の工夫だと考えたのです。これこそが教員の多忙につながっていたのだと気が付いたのは、ずっとあとのことでした。
(4) 週案が返ってこない。
週案は教員の手元に置いて活用していく大切な指導計画です。管理職に毎週提出するものですが、その週案がなかなか返ってきません。管理職も忙しく、コメントを入れて返すのに時間がかかっています。多忙なのはお互い様ですが、困るのは担任です。その上、準こうぼのため保管すると言われ、年度末には1年分の週案を提出しなければならない学校もあります。担任は、「仕方がないか。」と、受け流すしかありません。全てをコピーするほどの時間と労力はありません。
2 週案作成上の改善・改革案
そこで、私は、教員の働き方改革の観点で次の5点について提案したいと思います。
1 学校全体で統一した表計算ソフトを使う。
問題点で明らかにしたように、手書きでは時間がかかりすぎます。エクセルでフォーマットを作り、教科ごとに、単元名や1時間ごとの目標が数値を入れれば即座に出るようにします。教育委員会が採用するようなソフトは、今現在では、不便なことが多く逆効果です。指導計画としての週案なら、個人情報もなく、何も学校だけで作らなくてもよくなります。在宅でもできるのは、大変便利です。クラウド上に保存したり、メールで扱ったりすることもできます。
2 教科書出版社には、シンプルな教科書の指導計画をエクセル版で作成していただく。
教科書出版社のホームページを見ると、指導計画はエクセル版で提示されていますが、詳しすぎて、週案に取り入れにくいです。単元名と目標だけのシートがあったらといつも思います。
3 時数はファイルで提出する。
エクセルなら時数を自動計算することができます。各週の時数をまとめたシートが作成してあれば、それを提出することで時数提出は終了です。それでよしとする、教育委員会の柔軟な姿勢が必要です。
4 週案は、「指導計画」「時数把握」のために作成すると捉える。
週案にあれもこれもと目的を増やすのは負担が増えるばかりです。授業の反省や児童の様子など「指導計画」「時数把握」のため以外のことは入れません。週案は、教員と児童のためにあるという考え方がよいと考えます。ですから、児童のために特別な持ち物や注意などは入れてもよいと考えます。そのほうが、授業がしやすくなります。印刷はしないで、児童の一人一人のタブレットに送る方式が簡単だと思います。
5 週案は、管理職へファイルで提出する。
学校の共有フォルダに、提出箱を作成し、週案をファイルで提出する方式はいかがでしょうか。反省も押印もなしです。管理職のコメントも押印もなしです。「授業改善」「学校改善」などについては、自己申告制度でやればよいのです。管理職も教員もお互い様の気持ちでやりたいものです。
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