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執筆者の写真kazu

特別支援教育情報交換会を考える

教員の働き方改善・改革案23

的を絞る

 会議の時間が長くてイライラすることはありませんか?

 共通理解という名の下に、伝え合いに終始し、自分が知ってもあまり関係ないと感じるときにそれが起きます。

 しかし、教育上大切と言われては、参加をしないわけにはいきません。

 会議の主催者は、もっと的を絞りませんか? 短い時間で、最大の効果を挙げるために。 

 

 今回の特集は、「特別支援教育情報交換会」です。名称は学校によって異なります。


 「特別支援教育情報交換会」とは、各学級の教員が特別な教育的支援を必要とする児童について状況を伝え合う会です。対象障害種は、言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者

です。年に1~3回程度ですが、学校全体で対応していることを明確にしている会になっています。

 担任が日頃大変苦労して指導をしている児童は、各学級少なくとも2名はいるものです。1学級2名ずつ話しても5分ほどかかります。12学級で60分です。

 また、この機会に食物アレルギーとか、水泳で配慮するする児童とかも話すことがあります。その上、特別支援学級が併設されている学校では、在籍する児童についても話すことがあります。

 校長やスクールカウンセラー、養護教諭の話を入れると、1時間半~2時間かかる会です。

 そのような会を行っていなかったり、能率よく行っていたりする場合には、この提案は無用です。


1 特別支援教育情報交換会を開く意義


 文部科学省のホームページから、特別支援教育に関する学校経営上の留意点を引用します。

 

学校経営上の留意点


 学校経営上,校長が念頭におくべき事項には,次のような内容がありますが,教頭や特別支援教育コーディネーターをはじめ校内全体で取り組んでいくこととなります。 ○教師一人による支援から学校全体での支援への意識の向上意識改革 ○学級担任や障害のある児童生徒本人を組織として支えるために必要な校内支援組織の構築(組織改革) ○個々の児童生徒の特性を理解し対応する教員の指導力の向上資質向上 ○各教科・領域の指導計画作成に当たっての配慮事項の検討と具体化(指導改善) ○すべての児童生徒にとって「分かる」「できる」を実感できる教育環境の整備(教育環境の整備) ○特別支援教育についての児童生徒や保護者への理解推進(理解推進) ○児童生徒の安全確保と対応方針の確立(安全確保) ○外部の専門機関等との連携の推進(地域連携)


文部科学省:特別支援教育について 第3部 学校用(小・中学校)より引用

 

 こうしてみると、特別支援教育情報交換会を開くのは、教員の意識改革や資質向上をねらっているように思われます。


2 特別支援教育情報交換会までに担任がする業務


 個別の指導計画または個別シートを作成します。学校で決められた形式です。2年生以上ならば、前の担任が書いたシートに付け加えればOKです。

 ただし、最近の写真を添付してほしいという要望があったら答えなくてはいけません。

 以前はこれを印刷して配布し、会が終わったら回収してシュレッダー処理をしていました。しかし、今はPCでシートを見ることで済ませることができるようになりました。


3 特別支援教育情報交換会の問題点


 一番の問題点は、長時間の会議であることです。聞くだけの時間は、子供だけでなく大人も苦痛です。人は、集中力を低下させ、自分に直接関係ないことは聞いている振りをします。逆を言えば、人は、疲れて倒れないように自分の身を守っているのかもしれません。

伝え合うだけの会の時間は、30分くらいが妥当でしょう。


 二番目の問題点は、そもそも全員の教員に対象の児童の特性を詳しく伝える必要があるかということです。特別支援教育は、担任だけで抱え込むのではなく、組織で対象児童を育てていこうとするものです。だからこそ担任が組織に願い出るのでしょう。そのパイプ役を務めるのが特別支援教育コーディネーターです。そして、特別支援教育校内委員会で対象児童の実態について話し合われることになるのでしょう。

 したがって、全員の教員がそれら対象児童の実態を知る必要がないのです。


 三番目の問題点は、特別支援教育とは異なることを扱ってしまうことです。例えば、食物アレルギーの児童や水泳で配慮する児童など、命にかかわる連絡がなされることがあります。もちろん大変大切なことで、これこそ全職員が知っていなければならないでしょう。

 しかし、食物アレルギーの児童や水泳で配慮する児童は、特別支援教育の対象児童ではありません。きちんと区別しなければいけないと思います。


4 教員の働き方改革の上で、特別支援教育情報交換会が持続可能かを考える


 学級には、担任が指導に苦労している児童は必ずいます。そのうち、特別支援教育を組織で受けさせたい児童については、担任や特別支援教育コーディネーターが動けばよいと考えます。全員の教員が対象児童の特性を知る必要がありません。

 そう考えると、特別支援教育情報交換会は必要がなくなります。


 1学期の初めには、全教員に知ってもらいたい児童、命の危険がある児童、全職員に協力を求めたい児童について伝える会にするべきではないでしょうか。30分くらいで済みます。


 やめませんか。やらなくてもよいことを。


 やってみませんか。やらないことで生まれた時間を、自分や家族のために、そして、仲間を助けるために使うことを。

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