教員の働き方改善・改革案8
不易と流行
教育はこれまでに何度となく変わってきました。例えば、詰め込み教育からゆとり教育、そして、学力低下によるゆとり教育の見直しなどです。それらの流行のたびに教員は翻弄されてきました。
しかし、児童のために働き、感謝され、成長をともに喜び合うことで生きがいを感じていくという教員の思いは、不易なものです。
教員の働き方改革は、そんな不易をたくさん生み出すための方策だと考えます。
今回の特集は、小学校における「研究授業にまつわる事務作業の軽減」です。
研究授業は、授業の質を高める上で大変大切な機会です。研究授業をやっても、見ても大変有意義であり、それが授業改善につながって、児童のためになります。
ところが、研究授業を行うためには、大変時間のかかる事務作業が待ち受けており、それが教員にとって重荷になっているのです。そこで、1つ1つの問題点を挙げ、その対策を考えてみました
研究授業にまつわる事務作業の問題点とその対策
(1) 指導案が詳しすぎる。
「研究授業だから」、「学校でそろえるものだから」ということで、指導案の形式が細かすぎます。指導観、教材観、実態調査などに加え、学校の研究のテーマやねらい、低中高別のテーマなど書くことが多すぎるのです。指導案が生きて働くのは、次にその授業をしたときです。教師がどんな発問・指示をし、どんな資料を用意したら児童がどんな反応をするかが大切だと思うのです。そこで、学校の研究のテーマやねらい、低中高別のテーマは、研究推進部で作成したもので終わりにしたいです。実態調査はしたとしても指導案には載せません。指導案は、教師の発問・指示、予想される児童の反応、資料があれば十分です。
(2) 指導案の形式が厳しく指示される。
フォントや行数、文字の大きさまで指定されます。全てきれいにそろえたくなるのが教員です。しかし、中身が大事なのですから指導案作成の過程でそれが崩れても一向に差し支えないはずです。そこで、研究推進部で雛形は出しますが、それにこだわらないようにしたいです。フォントや行数、文字の大きさが変わったとしても直しません。
(3) 上の人に直される。
指導案を作成すると、いわゆる上の人に見てもらいます。表記は、東京都から発行されている表記便覧を基に、直されます。よく問題になるのは、「子供」か「子ども」、「点」か「コンマ」等です。どちらでも指導案の主張とは関係ありません。上の人はいちいち確かめなければならないし、提出者はいちいち直さなければなりません。これこそが業務の時間を増やしている原因です。日本語として正しければ直す必要がないと思います。
(4) 研究紀要作成に時間がかかりすぎる。
研究授業が終わったらそれっきりとならないように、教員は実践記録や研究の成果を研究紀要にまとめてきました。そうした教員の熱い思いが込められた研究紀要作りには、多くの教員の努力や業務が必要です。しかし、研究紀要作りは、本来学校の仕事ではありません。作らなくてよいのです。指導案は、今後の活用のために、学校のPCの共有フォルダに保存しておいて、必要な人が取り出せばよいのです。研究の成果は、冊子でなく、学校のホームページに入れればよいのです。
(5) 指導案検討に専科教員が参加している。
分科会には専科の教員がメンバーに入っていると思います。一緒に入れなければ失礼だと考える教員や、何か手伝えることはないかと積極的に関わろうとする専科の教員もいます。しかし、音楽や図工の専科教員が例えば算数の指導案検討をするよりは、専科教員しかできないことをその時間にやってもらう方がお互いによいのではないでしょうか。校内研究にも柔軟な考え方が求められていると思うのです。そこで、指導案検討では、専科教員は参加しなくてもよいことにしたらいかがでしょう。排除するわけではありません。必要なら入れるべきです。しかし、組織だから、全員が参加するものだからという発想では、働き方改革が実現しません。互いに寄り添う姿勢が大切だと思います。
(6) 二重三重の指導案検討
低中高別の分科会で話し合った上に、研究推進部でも検討するというような時間のかかる方法をとっている学校があります。研究推進部員が事前に内容を知っている方がよいとの配慮です。しかし、また同じような説明を繰り返し、仮にそこで大幅な直しが入ると、また検討会をしなくてはいけなくなります。その上、研究推進部会は、年間で決まっていることが多いので、研究授業の直前であったり、ずいぶん前であったりします。研究推進部は、研究を推進するところであって、研究のテーマやねらいを考えたり、研究授業がしやすいように環境を整えたりするところです。指導案は、完成したら印刷配布の前でも見られるように「校内研究指導案保存フォルダ」に入れておくとよいと思います。
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