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執筆者の写真kazu

算数少人数指導のグループ分け

教員の働き方改善・改革案9

不易と流行

 教育はこれまでに何度となく変わってきました。例えば、詰め込み教育からゆとり教育、そして、学力低下によるゆとり教育の見直しなどです。それらの流行のたびに教員は翻弄されてきました。

 しかし、児童のために働き、感謝され、成長をともに喜び合うことで生きがいを感じていくという教員の思いは、不易なものです。

 教員の働き方改革は、そんな不易をたくさん生み出すための方策だと考えます。

 

 今回の特集は、小学校における「算数少人数指導のグループ分け」です。

 少人数指導は、習熟度に応じた学習集団を構成し、担任と少人数担当で当たる取り組みです。学年で2クラスあれば、3つの学習集団に分けることで、クラスの人数より少ない人数で指導することができます。個に応じたきめ細かな指導を行うことで、基礎・基本を確実に身に付けることがねらいです。少人数担当の持ち時間が20時間ほどで、算数は週5時間なので、2クラス構成の学級では、3~6年生の4学年を担当することが多いです。

 さて、習熟度に応じた学習集団を形成するには、いろいろな事務作業があります。

 小学校における算数少人数指導のグループ分けについて問題点を挙げ、教員の働き方改革の観点で、その対策を考えました。 


1 算数少人数指導のグループ分けの問題点


(1) 頻繁にグループを変える。


 少人数指導を行う場合は、まず、習熟度別の学習集団を構成しなければなりません。通常は、教科書会社から発行されている指導書に付いているレディネステストを用いて、学習前に理解度を調査します。5~7分ほどで行い、教師が答えを言って、すぐに児童が採点します。自己採点の場合や隣の児童とテストを交換して採点する場合があります。

 テストにはあらかじめ、チャレンジ(発展)コース、ばっちり(通常)コース、じっくり(基礎・基本)コース(学校によって名称は異なります。)の希望欄を書いておきます。児童は、自分のテスト結果を見て、コースを希望するのです。

 例えば、学年で2クラス70人いると、30,25,15人くらいの構成になってしまいます。「少人数」と言えないかもしれませんが、限界です。

 うまく実力と希望が全員一致すればよいのですが、そのようなことはほとんどないと言ってよいでしょう。全問正解の児童が発展コースを選ばなかったり、理解していないのに、発展コースを選ぶ児童がいるからです。できていてもゆっくり進むスタイルの方が自分に合っているという正当な理由を言う児童もいます。数に余裕があればそれも認めてよいと思います。

 いずれにせよ、テストの結果から担任がコースを変えるということをあらかじめ言っておきます。以前は、希望通りでない場合は,担任が児童と面接をしましたが、慣れてくると面接をしなくても大丈夫です。

 コースの発表は、コース別の名簿を作り、教室で掲示することで行います。

 このように、個に寄り添ってコースを決定しているので、時間がかかります。

 この事務作業を単元ごとにやっている学校が多いのではないでしょうか。頻繁にグループを変えることで、膨大な事務作業になっているのです。


(2) 席を児童に決めさせる。


 習熟度別の学習集団なので、席を決めなければなりません。このときに絶対にやってはいけないことは、自由席にすることです。誰の隣はいやだとか、友達と一緒がいいとか、言い出します。いじめにつながりかねない自由席は問題です。


2 算数少人数指導のグループ分けの改善・改革案


(1) グループ分けは、3単元に1回にする。


 教員はいろいろな配慮をしながら学習集団をつくっています。教員が勝手に決めているわけではないのです。それだけに多大な事務作業をこなしています。

 しかし、単元ごとにそれが本当に必要かと考えてみると、そうではないのです。児童の学力は、それほど短期間で変わるものではありません。算数に対する意欲もそうです。多様な考え方をしようとする児童は、長期間に渡ってその力を発揮します。

 確かに、単元が変わると、学習内容が変わることから、児童の実力は多少変わります。計算はできるけど、図形はさっぱりという場合があることも知っています。それでも、事務の量に比べたら取るに足らないことです。


 そこで、学年を3つに分ける学校ならば、グループ分けは、3単元に1回にしたらいかがでしょうか。

 「3単元に1回」というのは意味があります。教師がローテーションをしている学年なら、ちょうど1周することになります。このことは、児童にも保護者にも説得力があります。また、時間的にも1か月ほどです。

 今すぐにでもできるこの改善案で、事務量が三分の一に減ります。


(2) 席は教員が決める。


 席は自由席にはしないで教員が決めます。ホワイトボードにあらかじめ座席表の枠を書いておき、児童の名前を記入する方法だと手間がかかりません。その際、目の悪い児童など決めた席が不都合な場合に備えて、前の方の一部を空けておき、移動できるようにしておくのがよいです。また、児童の名前は例えば1組が赤、2組が青のようにしておくと分かりやすいです。

 

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