教員の働き方改善・改革案15
問題意識から解決策へ
問いをもち、自ら解決しようとする児童を育てることが求められています。
教員も働き方についてまず問題意識をもち、声を上げるようになってきました。
しかし、単に早く帰れでは、何ら解決になりません。業務が多すぎるのです。
どうしたら業務を能率化させるか、減らせるかという具体的な解決策を自ら考えなければならないのです。
今回の特集は、「通知表の『行動の記録』の評価における改革(その2)」です。
3 絶対評価のメリット、デメリット
絶対評価のメリットは、決められた行動の評価基準を上回れば、○を付けるということなので、評価者や他の児童には関係なく、公平に評価できることです。
絶対評価のデメリットは、明確な評価基準を作るのが大変であることです。例えば、「交通のきまりを守って安全に通学する。」というのは、評価者が果たしてしっかり見ることができるかということが問題です。また、「自分で考えて行動する。」というのは、評価者の裁量に任されるような曖昧さがあるでしょう。
つまり、行動の評価では、明確な評価基準を作るのが難しく、評価者によってかなり左右されることが問題なのです。学校として評価基準ができていても難しいのに、それもない学校では、学年、あるいは学級で評価基準を作らなければなりません。できたかできないかの明確な評価基準を時間をかけて作らなければ、評価者によって、かなり差ができてしまうことになります。「厳しい先生」は○が少なく、「甘い先生」は○が多い結果に終わります。
4 個人内評価のメリット、デメリット
個人内評価のメリットは、個人の進歩を認めることです。絶対評価では○が取れなくても、個人内評価では個人のよさを見いだすことが目的ですから、○を取れることになります。その結果、自尊感情を高めることができます。
個人内評価のデメリットは、何を進歩とするかの判断基準の曖昧さです。変わったところを見いだす必要があります。また、評価者が1度思い込むとなかなか評価が変わらないことになります。
5 働き方改革として採用すると
絶対評価はデメリットが大きいので、避けるのが賢明でしょう。すると、個人内評価になりますが、働き方改革の上で工夫が必要だと考えます。
(1) 学校で評価基準を作る。
絶対評価でなくてもやはり評価基準は必要です。項目だけでは分かりません。試しに、作ってみました。1項目につき、3つの評価基準を作りました。合計30もあるので、通知表に載せることは無理でしょう。通知表にあえて評価基準を載せない学校もあるのも理解できます。
○低学年の例
○中学年の例
○高学年の例
学校で作るのは大変という場合は、学年でも学級でも評価基準があると、結局のところ楽になります。説明責任も果たせるでしょう。
下にExcelファイルで入れてあります。学校や学年、学級の実情で変えてほしいです。
(2) 一人一人が必ず1つは、取れるようにする。1学期に1人が取れる○の数は最高で3つにする。
一人一人のよさを見いだすのが目的ですから、一人一人が必ず1つは取れるように担任が考えます。また、多すぎても個人内評価になりませんし、他の評価者との差が出てもよくないので、1人が取れる○の数は最高で3つにします。2学期は、それを4つにするのも工夫です。よりよくなったというイメージになります。
個人内評価では、他人と比べるのではないと言っても、行動面で優秀な児童が○が1つで、そうでない児童が○が3つというのも矛盾があるように思えます。バランスを考えて○を付けていくことが大切です。
(3) 自己評価をとる。Aの数を絞る。
上の評価基準の表は、「振り返りカード」になっています。児童の進歩は、児童に聞くことが大切だと思います。個人内評価と自己評価は、深く関わっていると考えます。
また、振り返りをすることで、どのような行動をすることが大切なのかも児童自身が分かります。
ただし、自分に「厳しい」児童はAが少なく、自分に「甘い」児童はAが多くなります。
そこで、Aは必ず3~10に絞るように指導します。すると、期待通りの結果を得ることができます。
自己評価を必ずしもとらなくても大丈夫ですが、私は、ほとんど毎年毎学期とって大変重宝しました。個人面談が自己評価をとった時期にあれば、教員はそれを資料とすることができます。
(4) Cを付ける場合は、個人内評価とは異なる。
指導要録では○か無記入かで評価を記すのですが、通知表では「もう少し」を取り入れて△として記す学校があります。「もう少し」の場合は、明らかに評価基準に達していないという絶対評価から出た結果です。個人内評価とは異なるので気を付けたいです。個人内評価に固執してしまうと、優秀な児童でも個人内では頑張ってほしいものが出てしまい、「もう少し」を付けなければならなくなります。
このように、行動の記録の評価方法をしっかりと決めていくことが教員の働き方の改革につながると考えます。○の数をしぼり、児童のよさを見いだすようにしていけば、教員間の調整がなくなり、評価に時間がかからなくなると思うのです。いかがでしょうか。
Comments